〜特別レポート〜野菜ソムリエと行くカリフォルニア視察の旅



年に一度の定番行事。海外ツアーのレポートです。

今年は、シニア・ベジタブル&フルーツマイスター土方さんと
協会HPで「アメリカ発野菜果物レポート」を書かれています
現地コーディネーター中川さんのご案内での旅となりました。

日時 :2006年9月24・25・26・27・28・29日
参加者 :13名
場所 :カリフォルニア州(サンフランシスコ、ワトソンビル、
モントレー、サリナス、ギルロイ、マーフィス)


■1日目〜 旅は『黄金の門』サンフランシスコからスタート!

9月24日15時、成田空港に、全国から12名のメンバーが集合しました。年齢も職業も皆さん様々、野菜の生産者、卸、小売、フードコーディネーター、コックと、バラエティー豊かに集まりました。これから旅を共にするメンバーの顔をお互いに確認し、自己紹介をしながら、17:00過ぎにいざ搭乗!目的地、サンフランシスコまでは9時間15分のフライトです。

カリフォルニアと日本との時差は、夏時間の今はカリフォルニアが−16時間、もう一度、24日の朝に逆戻りです。サンフランシスコ空港にはガイドの土井さんが待っていてくださいました。空港を出たのがお昼の12時、さっそく第一の目的地、『フェリープラザファーマーズマーケット』へGO!

現地に着くまでに、バス内では土井さんによるカリフォルニア講座が。ここ、カリフォルニア州は地中海性乾燥気候で年間降雨量がたった300mmほど、しかも雨が降るのは雨季だけで、残りの8ヶ月間は降らないのだとか。そのため、シアラネバダ山脈から引く用水路や貯水施設がしっかり整備されており、貯水施設は約250もあるのだそう。

『フェリープラザファーマーズマーケット』
ここは非営利組織CUESAによって運営される農家の直販市場。近郊生産農家によって果実野菜、その他食品が直販され、特に土日の午前中は賑わいをみせるそうなのですが、残念ながら我々が到着したのは、日曜の午後過ぎ。露店は少ししか残っていませんでした。しかし、そんなことではひるまないメンバー達は、露店へ突進すると、各自、野菜・果物の写真を撮りまくり、お店の人に話を聞いたり、味見をさせてもらったり、思い思いに過ごしました。

『フィッシャーマンズワーフ』&『ゴールデンゲートブリッジ』
観光スポット、『フィッシャーマンズワーフ』とサンフランシスコの顔『ゴールデンゲートブリッジ』に立ち寄りました。直訳すると『金門橋』のこの橋の名前の由来は、サンフランシスコがゴールドラッシュに沸いた19世紀中頃、金鉱を求め、あるいは金を発見して出入りする人々でにぎわった港であったからだというのが有力な説。1年のうち1/3は霧につつまれるというサンフランシスコで、一部分しか見えないことが多いというこの「黄金の門」が、我々が訪れたこの日はくっきり隅々まで見渡せたのは、なんだかとても幸先が良いスタートです。

『レインボーグロッサリー』
『レインボーグロッサリー』はアメリカで、ここカリフォルニアに一店舗あるだけの、協同組合経営によるお店。地元の有機野菜や、ヘルシーフード、生活雑貨など、環境や健康にこだわった製品を取り扱っています。また、ごみ削減のため、野菜はもちろん、穀物や香辛料まで、バルクでの量り売りが目立ちました。

本日の視察は、これで終了。ホテルへ向かい、この旅のコーディネーター、中川さんと合流です。
「アメリカ発 野菜・果物レポート」でお馴染みの中川さんですが、「とにかくすっごく偉い方」と我々の抱いていたイメージを覆す、やさしそうなお姿にホッと一安心。中川さんが加わったところで、さっそくシニアマイスター土方さんおすすめのベジタリアンレストラン「ミレニアム」に皆で繰り出しました。市場で見たエアルームトマトやエンダイブのサラダ、ミラクル穀物“キヌア”のスープ、ポルトベローマッシュルームのグリルなど、めずらしいもの、おいしいものばかりで、写真を撮るのはもちろん、お店の方にお願いして、各自メニュー表まで頂戴して帰りました。


■2日目〜 サンフランシスコの朝は食べ比べから始まる

2日目の朝は、朝食の席に、昨日土方さん達が市場で購入したトマトを持ち込み、食べ比べから始まりました。朝っぱらから、なんて勉強熱心な団体なのでしょう。本日からは少し遠出になるということで、トイレ付の大型バスがホテルの前にデーンと待機。朝8時、ワトソンビルへ向けて出発です。

『サブウェイ&アルバートソンズ』
途中、サブウェイでお昼のお弁当を買うついでに、そのそばにあるアメリカ三大スーパーのひとつ、アルバートソンズをのぞきました。いわゆるアメリカの一般的なスーパーの姿ということで、各自、生鮮品の陳列や値段などをチェックしました。

『ライブアースファーム』
ワトソンビル、サンタクルス山脈のふもとの丘に、CSA農家『ライブアースファーム』があります。美しい谷を見渡す、気持ちのいい農場の一角で、持参したサンドイッチと、農場でとれたおいしい有機野菜や果物のランチをほお張りながら、ご主人トムさんから、CSAの成り立ちからアメリカ農業の未来まで熱いお話を伺いました。

CSAを直訳すると「地域支援型農業」。全米に1500軒くらいのCSA農家があるといわれ、CSAの特徴は、顧客である会員と農家が、ともに利益とリスクを共有することです。まず、1ヶ月〜1年間といった長期契約を前払いで交わし、会員になると、毎週、農家から旬の有機野菜や果物が分配されます。分配される野菜のえり好みが出来ないのもCSAの特徴。会員は、新鮮な旬の野菜を、顔が見える信頼できる農家から手に入れることが出来、一方農家は、先に収入を得ることにより、凶作や、収穫がにぶる冬期の収入減の不安から解放され、計画的に農業経営ができるというわけです。また、CSAは地域の子供達に農業という大切な文化を伝え、地域コミュニティを活性化させる役割も担っているのだそうです。なんと、このCSA、日本の生協の概念が発展したものなのだとか。

『ジャンバジュース』
午後は、本日の宿泊地、モントレーを目指しながら、途中、果実野菜をベースにしたフレッシュなスムージーが話題のジュース屋さん“ジャンバジュース”に立ち寄りました。一杯で果実野菜5サービング分が摂れるスムージーや、“ブースト”と称して「エネルギー」「魅力」「免疫」といった名前のついたサプリメントをジュースに無料で混ぜてくれるという面白いサービスもありました。ただ、実際に飲んでみた感想は、ヘルシーを謳っているわりには、我々日本人にとっては甘すぎるかな〜、メニューに書かれているカロリーも結構高いね〜なんて声も聞かれました。

『モントレー半島シーニックツアー』
モントレーは海岸線の美しい、風光明媚な海辺の町です。海岸の岩場には、ゴマフあざらしがのんびり昼寝をしているのが見られました。かつて、イワシ漁が盛んで、現在もイワシの缶詰工場跡を利用したお土産屋さんや、「イワシ工場通り」なんて道の名前が残っています。アメリカでは文豪スタインベックが愛した街として有名で、我々が泊まった「ホリディ・イン」にもスタインベックの写真が飾ってありました。

宿に落ち着く前に、森と海岸線が入り組んだ景勝地『17マイルドライブ』の観光をしました。ゴルフコースで有名なパブルビーチや、リッチな人々の大邸宅が立ち並ぶデルモンテ・フォレストからなるこの地区は、住民以外は、入場料を取られるのだそうで、料金所で、我々のバスが乗っている人数にしては大きすぎるのを警備員さんに疑われてしまいました(笑)。本日の夕食は、せっかく海辺の町に来たのだからと、シーフードレストランに決定!ロブスターやクラムケーキ、イカフライの「カラマリ」などを各自堪能しました。


■3日目〜 ちょっと余裕の3日目

ツアー3日目ともなると、メンバーそれぞれ、旅の時間の過ごし方や、ペースがつかめてきたようです。早めに起きて朝食を済ませ、朝の海岸を散歩する者もいれば、出発ぎりぎりまで睡眠時間を確保する者も。
朝8:00、業界トップのナチュラル・スーパーチェーン、『ホールーズマーケット』へ向かって出発!

『ホールフーズマーケット』
8時30分。モントレーのホールフーズマーケットに到着。開店は8:00なので、日本のスーパーよりずいぶん早いのではないでしょうか。店内を見回る前に、「パブリック・コミュニケーション・リレイションシップ」という部門の方から、まず、ホールフーズについてのお話を伺うことになっており、店舗に併設された、普段は料理教室や健康づくり講座などのイベントが開かれる施設に通されました。入り口には「クッキング&ライフスタイルスクール」と書かれています。これだけでも、消費者教育に力を入れていることがうかがえます。

お話を伺った“地域社会コーディネーター”のナオミさんによると、26年前にテキサス州のオースティンに誕生したホールフーズは現在、全米で約200店舗、イギリス、カナダにも店舗をかまえる、ナショナルチェーンへと成長。ホールフーズのモットーは「ホールフーズ、ホールピープル、ホールプラネット(自然食品、健康な人々、健康な地球)」。なるべく人工的な手を加えない健康的な食べ物を手始めとして、人や環境のことまで考えよういう明確なコンセプトが分かります。しかも、そのコンセプトを着実に実行しているところがすごい。「ハニークリスプ」「フジ」「ガラ」とりんごの食べ比べをさせてもらいながら、ホールフーズが連邦農務省とともに、メンバーの一員として有機の全米一律の認定基準を作ったことや、売上利益の地域還元、自社有機ブランドの開発、厳しい取扱商品基準などの話を伺いました。成人の6割以上が肥満か太り気味といわれるアメリカ。ちょっとくらい高くても、よりヘルシーで、なおかつ、おいしい食べ物を求める、知的で豊かな人々の層の成長とともに、ホールフーズマーケットも成長してきたのでしょう。その斬新な売り場演出や、従業員の接客教育、ブランド戦略はみごとで、全米の働きたい企業のトップ100に過去9年間連続で入っているのだそうです。ちなみにここで買った、お昼のサンドイッチは、昨日のサンドイッチと比べてもほんとうにとってもおいしくて、感心しました。

『ザ・ファーム / クラウンパッキング』
10:00。『ザ・ファーム / クラウンパッキング』に到着。「アメリカのサラダボール」と呼ばれる野菜の大生産地サリナスで、体験農場「ザ・ファーム」とともに、800エーカーの慣行栽培圃場と250エーカーの有機栽培圃場を持つ「クラウンパッキング」。不思議な名だと思ったら、元々は選果場(パッキングハウス)だったのだそう。まずは、広大な農場をバスに乗って見学。これが、大規模農場というものかと感心していると、800エーカーというのは、アメリカの農場としては小さいのだと、案内してくださったデイビッドさん。大きなチェーンスーパーに一年中商品を供給できる、もっと大きな農場との競合はたいへんなのだそう。

最初にバスを降りたのは、レタス収穫中の畑の前。現在は選果場に運びこむのではなく、「フィールド・パッキング(収穫しながらその場で直接包装すること)」をするのだそうで、目の前には興味深い光景が。ゆっくりと移動する作業車の後ろに10数人の人々が、隙間なく横一列について歩き、自分の前のレタスを刈り取るとセロファンにつつんでダンボール箱へ詰めていきます。荷台の上にはレタスで一杯になった箱を受け取り、積み上げる係りが待機、荷台が箱でいっぱいになったら別の係りが台ごとトラックに移します。このように移動し続けながら、流れ作業で実に手際よく作業が進んでいくのです。1チームで一時間に約300箱を詰め、作業車が3台稼動しているので、合わせると一時間に900箱から1000箱のレタスの箱が出来上がっているのだというから驚きです。

続いて、4月から11月までが収穫期というイチゴや、有機栽培のセロリ、アーティチョークと次々と畑を見学しながら、労働者問題や、アメリカ市場の動向など、色々とお話を伺いました。驚いたのが、有機作物がとてもきれいで虫食いがないこと。ほんとは農薬撒いてんじゃないの?とちょっと疑いましたが、空気が乾燥しているカリフォルニアは、病害虫の発生率が少ないのだそうです。日本で有機栽培をされている方々の虫取りのご苦労を考えると、うらやましい限りです。

後半は、ハロウィーンが近いからでしょうか、かわいらしくカボチャでディスプレイされた体験農場「ザ・ファーム」に移動し、有機栽培のイチゴやとうもろこし、トマトなど、様々な野菜が植えられたデモンストレーション用の畑をスタッフのサラさんに案内していただき、畑の作物をその場で味見させていただきました。

バスは、次の宿泊地、マーフィスへ移動。途中、『ウォルマート』に立ち寄りました。大型バスから降り立つ我々を見た地元の少年達が「ひょー!ウォルマートにバスで来てるぜ!」と驚きの声をあげていました。確かにウォルマートは観光スポットとは程遠い、アメリカ一安売りに特化した、超・庶民的スーパーなのですから、驚くのも無理はありませんね。

マーフィスへの道中、幾重にも連なる丘を超え、「セントラルバレー」という日本中のすべての平野を足してもまだ余る面積を持つという大平原を抜け、うねうねと横切る用水路や、アーモンドや柑橘類の広大な畑が次々に車窓に現れては飛び去るのを眺めながら、やっぱりアメリカは大きいなぁと実感。そうこうするうちに、バスはシエラネバダ山脈に近づき、道はすっかり山道に。バスの水タンクが漏れているというハプニングがあり、途中、パブや高校で水を分けてもらいながら、なんとかマーフィスへ到着です。

森の中にたたずむマーフィスは、昔ゴールド・ラッシュで賑わった、小さな田舎町。町並みも古き良き時代を懐かしむような、古い建物を改造したアンティーク風のショップが立ち並びます。本日泊まるホテルも小さいながらも歴史あるホテルなのだそう。ホテルでの夕食の席で、明日でお別れの中川さんからお言葉をいただき、我々もこの素敵な旅行を計画し、長い期間下準備をしてきてくださった、中川さんへの感謝とともに、一人ずつ旅の感想などを述べさせていただきました。ここでまた、新たなキャラクターの発見などもあり、メンバーの距離感がぐっと縮まりました。


■4日目〜 ついに黄金に近づく?

今朝は、地元のボランティアツアーガイドの方による、「マーフィス歴史散歩」に参加。まさにゴールドラッシュ当時、この土地に最初に入り、町の名前の元となったマーフィ兄弟の話から、砂金とりの道具の発展、今も建物に残る当時のなごりや、ならず者を閉じ込めた牢屋などなど、気持ちの良い朝の空気のなか、一攫千金を夢みて集まってきた開拓者達に思いを馳せながら、美しい通りをぶらぶら歩くのは、とてもゆったりした時間でした。実際、ここでは豊富に金が出たらしく、町を開いたマーフィさんなどは、たった2年間で、当時のお金で150万ドルもの黄金を手に入れて帰っていったのだそう。メンバーから「もっと早く来ればよかった…。」というつぶやきも聞こえましたが、実は近年でも黄金は発見されているのだそうで、まだ遅くはなかった!と安心(?)したのでした。

『アイロンストーンビンヤーズ』
ホテルを出発し、11:00に本日の視察先、『アイロンストーンビンヤーズ』に到着。ここで最初に見せていただいたのは、1992年に発見されたという44ポンド(約20kg)の巨大な金塊!「なぜ、ワイナリーに金塊が?」と混乱しましたが、施設内を案内してくださった、コンラードさんによると、発見時、世界中の有名な博物館が名乗りをあげたけれども、ここのオーナーが地域の宝は地域で保管するべきだと買い取って、こうやって展示しているのだそう。いかにもアメリカのお金持ちらしいお金の使い方ですね。コンラードさんに、ワイナリーの名の由来となった、鉄のように堅い巨大な岩を、根気強く掘り進めて作った、ワインの貯蔵庫である洞窟をはじめ、広大な敷地内に点在するぶどう園や歴史教育施設、野外劇場、結婚式がとり行われる庭園などを案内していただきました。

後半は、高級ホテルの宴会場を思わせる一室で、総料理長のジェームスさんによる、カリフォルニア料理のクッキングデモンストレーションです。

テーブルの上にはレシピ付きのメニュー表が置かれています。全米で、だんとつ1位の農作物の生産額を誇るカリフォルニア、そんなカリフォルニア料理の基本は「旬」と「地元」の2点。特にこの2年ほどのあいだに、シンプルに料理して出来るだけ素材それぞれの風味を引き出すという料理の原点に戻ってきているのだそう。花びらのように並べたサラダ菜にぶどうやイチゴを散らし、酸味の強いぶどうジュースVerjusを使ったドレッシングをかけたフルーティーなサラダや、アーティチョークのペーストで覆って焼いたサーモンのワイルド・ライス添えなど、目の前で、作り方はとっても簡単なのに、見た目も美しく、おいしい料理が次々と作られていきます。 コース最後のデザートまで、料理に合わせて出されるワインとともに、たいへんおいしくただきました。


すべての見学が終わり、この場所で、中川さんとはお別れです。別れをおしみつつ、我々はサンフランシスコの街へ向けて出発。ホテルへの道中、大型スーパーのひとつ『ターゲット』に立ち寄りました。今回、その驚異的な知識で、我々の旅をサポートしてくださったガイドの土井さんとも、最後の宿泊場所となる空港近くのホテルで別れ、明日以降の帰国スケジュールが、メンバーによって違うということもあり、今夜は各自バラバラに夕食をとりました。

そのなかで、私達女性5人は、港の倉庫を改造したベジタリアンレストラン「グリーンズ」へタクシーではるばる向かったのですが、広い店内の席がほとんど満席だったのには、アメリカでのベジタリアン料理人気を再確認しました。


今回の旅では、短期間にもかかわらず、海から山、都会から田舎、寒い地域から暖かい地域へと移動とともに移り変わる多様な風土にふれ、アメリカの広さを実感しました。また、綿密に計画をねり、すばらしい旅をコーディネートしてくださった中川さんと、お忙しい中、我々の視察に協力をしてくださった、アメリカの皆様に心から感謝いたします。黄金は見つけられなかったけれど、参加メンバーそれぞれがこの旅で何かを得て、それを日本に持ち帰り育てていきたいと感じたのではないでしょうか。ありがとうございました。


文章、写真:ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター 高田綾子


 

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