第67回前編 柿澤利行 さん(千代田漬物(株)代表取締役)
「信頼」を築き上げて34年! 漬物ひとすじの「問屋業」は「人」が命!
農家と工場、消費者を「信頼」で結ぶ

柿澤 利行さん(千代田漬物株式会社 代表取締役)
| ご職業 | 千代田漬物株式会社 代表取締役 |
| 座右の銘 | 信頼 |
千葉市にある中央卸売市場に店を構える漬物専門問屋、「千代田漬物株式会社」。
店内には、梅肉を混ぜ込んだピンク色の「梅沢庵」や、大根を燻して漬けた「秋田のいぶりがっこ」などの珍しい漬物から、国産ハクサイ使用で人気のキムチまで、ありとあらゆる漬物が並んでいます。
これらは全て、漬物問屋である同社を通してスーパーや外食産業などに卸されている品々です。
「同じ値段なら社長のところから買うよ、と言ってもらえる「信頼」が利益を生むのが卸の仕事です」と創業者の柿澤社長は言います。
では、「信頼」はどこから生まれるのか・・それは「人間」から。

店先にズラリ並んだお漬け物

市場に併設された仲卸店舗が並ぶ特別棟。
「相手の思いを知り、察知できるのが商売人。そのためには、野菜を提供してくれる農家や、漬物に加工してくれる提携工場、おいしい!と買っていただく消費者の間に立って、適度な緊張感とバランスを保ちながら、漬物作りに最適な環境を調えることを心がけています」。
○○産の野菜の浅漬けを××だけほしい・・といった依頼がくれば、千葉と茨城県内にある5つの提携工場の中から、即座に最も適した工場を選び、製造環境をコーディネイト。ただし、小規模工場には、無理な発注を課さないよう、さばききれない注文は、長年培った全国の浅漬工場との関係をフル活用して対応します。
「千代田に頼めばなんとかなる、千代田の発注なら安心して受けられる」という信頼を得ることが「問屋としての腕の見せ所」です。
市場を使いこなして生き残れ! 卸不要なんて言わせない。

千葉市場にて、毎朝欠かさず情報収集

出荷を待つ集荷倉庫
一時、世間では卸不要論などがうたわれ、千葉市場内に6軒あった漬物問屋が次々と撤退するなか、千代田漬物1社が残り業績を上げています。だからといって、自社工場を作り製造元となって製造販売で自分だけ儲けるといった商売はしません。
「昔から、うちに少量でも高品質な浅漬けを卸して協力してくれた小規模工場を裏切ることは絶対にしません」
と柿澤社長は断言します。
「問屋としては農家、工場さんが一生懸命作ってくれた商品をしっかり評価して大切に売る。消費者にも理解をして買ってもらう」のが仕事。
そのためにも、毎日朝6時には市場に出向いて青果物の質や量など産地動向をチェック。そこから、漬物の価格は適正か? 素材のできはどうか?また、新たな漬物に向く野菜はないか?などの情報収集を欠かしません。
また、工場から原料野菜を買い付けに来た担当者とのコミュニケーションをはかるなど、「市場の有利性をわかって商売に活用し、工夫するのがプロ。ただ漬物を右から左に運ぶだけならそれこそ卸は不要になる」と語ります。
成田みやげが中国産? で生まれた地産地消プロジェクト

大根にカブにきゅうり・・いろんな野菜が漬物に
千代田漬物は昭和50年に、千葉県の成田公設市場開設にあたり、柿澤社長のお父様が経営する東京東梅食品から独立、出店したのがスタート。当時はまだ、成田山の漬物みやげの原料は国産でしたが、数年前にその殆どが中国や東南アジア産に代わってしまいました。
「これでは成田みやげじゃない!」と思っていた折り、中国産食品の事件がきっかけとなり、世間では国産志向が急上昇! また、農家では、野菜の豊作による価格の暴落を防ぐため、余分な野菜や規格外野菜を廃棄している現状がありました。
「この矛盾をなんとかできないものか」と長年プランとして温めてきた「地産地消プロジェクト」を発足!
千葉県の農家の規格外野菜を提携工場で漬物にし、地元のスーパーやレストラン、お弁当製造会社等に卸すことで千葉県の消費者に届けよう、という地産地消活動です。
しかも、農家からの野菜の回収は、千代田漬物や提携工場の配送帰りの空きトラックで運搬することでエネルギーも節約します。
こうした新しい流通の仕組みは、千葉県からこの2月に経営革新計画として承認され、その活動が注目をされています。
※<後編>では、農家の思いを受け止める柿澤社長の、
「商売人」としての有り様、思いを語っていただきます。
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