鈴木 和代さん(ベジタブル&フルーツマイスター)

薬膳から海外のレシピまで広がる「身体に優しく美味しい野菜料理」

●外資系勤務から、「食」の世界へ


ベジタブル&フルーツマイスター 鈴木和代さん

 優しく柔らかな物腰の中に、一本芯の通った清々しさが魅力的な鈴木さん。以前は、外資系大手企業の経理担当責任者として多忙な日々を送っていらっしゃいました。

「早朝から深夜まで忙しい日々で、気がついたときには、食事を楽しむ余裕もなく、ただ、お腹を満足させるだけの毎日を送っていたのです」

 心身の疲労を感じるようになり、人間に一番大事な「食」がおざなりになっているのではないか、もっと別の生き方があるのではと、退職を決意されたそうです。

「仕事だけ、忙しいだけの世界から、何か別の世界へ踏み出したくなったのです。人生の価値観が変わってきたのですね」


 まずは、きちんと食べる事で、心身を元気にしたい。鈴木さんは、迷うことなく、幼い頃から好きだった「食」の世界への扉を開け、キャリアチェンジへの第一歩を踏み出しました。



●野菜ソムリエと薬膳


忙しい時だからこそ、手軽にお節を作りたい、「おつまみ風お節」

日本調味料マイスター協会の講座では調味料を使ったレシピを担当

 退職後、フードコーディネーターの資格を取得すると、口コミで、料理を教えて欲しいと頼まれるようになりました。教えるために、きちんと勉強したいと考えた鈴木さんは野菜ソムリエの講座を受講し、資格を取得されました。

「ジュニアマイスターの講座を受けて、自分は知らないことばかりと思い知らされ、迷わず、マイスター講座も受講しました」

 ベジタブル&フルーツマイスターの資格を取得されてからは、以前から興味があった現代薬膳コーディネーターの勉強も重ね「食」のキャリアの底辺を広げていきました。

 そして、現在は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会、日本調味料マイスター協会和食マイスター協会の講師、レシピ開発、商品開発、料理教室講師と幅広く活動されています。



●様々な世代へ伝える手軽で身体に優しい料理


男の料理教室では、和食の基本、ご飯の炊き方から学べます

葉、実、根とそれぞれの効用を生かし蓮の全てを使った薬膳蓮づくし

 鈴木さんはご自身の経験から、働く女性のために、手軽で身体に優しく心も癒やされるレシピを提案されています。野菜と薬膳を組み合わせ、旬を生かした料理は、忙しい女性達の元気の素になっているのです。
 また、初めて料理に挑戦する方も多い男性向けの教室では、ご飯の炊き方や魚の選び方など、基本料理の「さしすせそ」からていねいに教えていらっしゃいます。

「男性と女性では質問の内容が違います。初心者の男性に『いちょう切りって何ですか?』と聞かれ、逆にこちらが新鮮な気持ちになります」

 そして、親子教室では、野菜が苦手な子供たちにも野菜を食べてもらえるように、味付けばかりではなく、見た目にも楽しい工夫をこらしています。

「子供たちは自分で作ると、全部食べたいという意識になり、残さず食べます。ご両親にびっくりされることも多いのですよ」


 どの料理教室でも、季節や旬を大切にして、野菜は皮や芯も使います。レシピ作りも、最初は何度試作しても満足できずに、行き詰ったこともあったそうですが、勉強を重ね、いろいろな出会いを経た今では、「頭の中でレシピが描けるようになった」とおっしゃいます。



●高齢者、介護食、そして外国人向けへ


「ごろごろ野菜たっぷりのボルシチ風スープ」の親子教室での風景

 野菜ソムリエの資格を取得してからは、地方へ出かけても、観光地より、野菜やその地ならではの調味料に目がいき、帰りには思わぬ大荷物になることも多いそうです。

「仕事をしながら学ばせてもらっている毎日です。今後は高齢者向けや介護食の分野でもお役にたてればと思っています。命を繋ぐためだけではなく、季節や楽しみも盛り込んでいきたい。そして、日本食を好む外国人向けの料理教室も主宰していきたいですね」

 鈴木さんが生み出す、身体に優しく美味しい野菜料理の輪は、性別、世代、人種の垣根まで越えて、どこまでも大きくなっていきそうです。



○kazu Cooking Studio
http://www.kazu-zen.jp/index.html

文章:ベジタブル&フルーツマイスター 田尻良子
写真提供:鈴木和代さん