川合 泉さん(シニア・ベジタブル&フルーツマイスター)
ニュートラルな立ち位置で、野菜の品種の魅力を伝えたい
●おいしい野菜への感動が野菜ソムリエを目指したきっかけ

シニア・ベジタブル&フルーツマイスター
川合 泉さん
幼いころから動物好きで、学生時代には環境問題に興味をもっていた川合泉さん。種苗会社「サカタのタネ」に入社した動機も、生き物や自然に関わる仕事をしたかったからといいます。
自社の品種「フリーダム」というきゅうりを食べた時、その美味しさに感動し『このように美味しい野菜があることを多くの方に伝えたい』と思い、販促の仕事に自ら立候補したといいます。さらに、自分の核となることを身につけたくて、野菜ソムリエの受講を決めたのです。

種苗店の店頭で、野菜のミニ講習会。お客様に食べ方を提案します
種苗業界で野菜ソムリエとして仕事をしていくには人一倍の努力が必要と、受講前から最高峰であるシニアマイスターまでの資格取得を決めていた川合さん。そして、2009年には初心の目標を達成し、シニア・ベジタブル&フルーツマイスターの試験に合格しました。
「講座を通じて信頼性のある情報をわかりやすい言葉で伝えることと、生活者の目線を忘れないことを意識するようになりました」
●品種の持つ魅力をわかりやすく伝える

ミニトマト「アイコ」のドライトマトは甘酸っぱくて大好評

「王様トマト」のおでんは、果肉がしっかりしていて加熱しても煮くずれしにくい

「王様トマト」とモッツァレラチーズのフライ。業界向けの「トマト情報交換会」で、ホテルのシェフに品種の特長を伝えたことで生まれたレシピ
これまでは栽培の部分で生産者にPRすることが多かった種苗業界の中で、川合さんは生活者や実需者に向けてそれぞれの品種にあった使い方をわかりやすく提案しています。
例えば、「王様トマト」という品種は、果肉がしっかりしていて加熱料理にも向くので『おでん』に。
また、ミニトマト「アイコ」で作った「ドライトマト」は、お客様の問い合わせからヒントを得て提案するようになった食べ方で、イベントで紹介した時も大好評だったそうです。
今では川合さんが所属する野菜統括部の全員が、この作り方を把握しているので、説明するのに非常に説得力があるそうです。
「料理法を含めて品種の特長を伝えるようにすると説得力があり、食材として興味を持ってもらえ、新しい取り組みのチャンスが生まれます。シンプルで簡単に作れる料理で、品種のよさを伝えたいですね」
このように、品種の特長を伝えるのに料理に姿を変えて提案できるのも、野菜ソムリエの資格を持っている川合さんだからこそ成し得る仕事なのです。
●野菜ソムリエとして品種の魅力を伝え、生産者と生活者の間を縮める

イクスピアリでのステージイベント。メロンの産地PRや野菜の話をします
川合さんの部署では、普段から卸売市場や青果業者の方々との情報交流を大切にしています。
そうした日々の活動が実を結び、今年の『FOODEX JAPAN/国際食品・飲料展』では、種苗会社としては初めて、青果の生産・販売会社と共同出展を果たし、タネから青果物へと一連の流れで商品提供をおこないました。
「畑にまいたタネが、品質のよい青果物として収穫できるだけでなく、食材として付加価値を生み出すような仕掛けができれば、農家も元気になるし、生活者の食卓も豊かになります」
青果流通のもっとも川上である種苗メーカーにいながら、生産者と生活者の間のニュートラルなところに「立ち位置」を構える川合さん。

スーパーでのお客様向け講習会にて、夏野菜を紹介
品種の持つ可能性を見つけ、生産者には品種開発によってよりよい「タネ」を提供できるように、生活者には「品種」の特長を最大限に活かした情報を提供して、おいしく楽しく野菜を活用してもらえるような活動をしていきたいと語ってくださいました。
川合さんの伝える「品種」や「タネ」の魅力が、どんな野菜になって私たち生活者のもとに届くのか楽しみです。
文:ベジタブル&フルーツマイスター 佐藤 雅美
プロフィール写真撮影 佐藤 雅美
取材協力・写真提供 株式会社サカタのタネ







