内藤 宏さん(シニア・ベジタブル&フルーツマイスター)
八百屋の立場から、野菜の『素晴らしさ』を伝えたい
●エンジニアから八百屋修行、そして野菜ソムリエへ

ベジタブル&フルーツマイスター
内藤 宏さん
(2009年シニアマイスターを取得されました)
野菜ソムリエの資格を活かし、八百屋を経営しているという内藤さん。現在は、東京都町田市と神奈川県横浜市に店舗を構え、毎日、冷蔵完備のトラックで深夜から朝にかけ、市場に出向き、自分で仕入れを行っているというこだわりっぷり。
そんな野菜へかける情熱が従業員にも伝わっているのでしょう。内藤さんの影響を受けて従業員の多くが、野菜ソムリエの資格を取得しています。
八百屋を営み約30年という内藤さんですが、大学を卒業後は、電気自動車のバッテリー開発をするエンジニアを志していたといいます。
しかし、就職先の会社で配属されたのは希望職種とは違う「営業部門」。この部署での仕事が、将来の方向性が決まるきっかけにもなったのです。
ロゴ入りの大型トラック2台で仕入れ。冷蔵完備で鮮度を保ちます
「持っている才覚の全てを使い勝負する営業は面白く、何か商売をやりたい」と考え、電気屋、魚屋、ラーメン屋などを検討し、当時すでに「産直」がブームだったことや、早く始められるという理由で「トラックで野菜の引き売り」を選びました。
数年会社に勤めてから、ノウハウを学ぶため、住み込みで2年ほど八百屋修行。独立のため、市場調査をした結果、町田市で野菜の引き売りを始め、約10年前に今の店舗「やさいのナイトウ」をオープンさせたのです。
野菜ソムリエの勉強を始めたのも、他店との差別化に役立つと考えたから。
流通の仕組みが変わり、生活者の価値観や要望も様々になった中で、青果物の商売を生産・流通・消費という全体を通じたマクロの視点で考えたいと思い、資格に挑戦したそうです。
●新しい自分を見つけたような新鮮な感覚
NHK文化センター横浜ランドマーク教室「野菜ソムリエのベジタブルレッスン」にて
野菜の栽培についての話に、受講生も興味津々です
とても勉強熱心で、今ある環境を受け入れ、自身の成長のエネルギーにつなげるポジティブさを持っている内藤さん。
今までは、お休みの日は海が好きでマリンスポーツを楽しんでいたそうですが、
「野菜ソムリエの講座は、勉強をすること自体が新鮮で、新しい自分を見つけたような驚きと発見に満ちていました」
と話してくださいました。すっかり野菜の魅力にひかれ、現在はシニア講座を受講中です。
「資格を取ってから、野菜を見る目が変わりました。今までは商品として見ていたので、お客様の『お値打ち感』に訴えるよう、コストパフォーマンスを中心に考えていたのです。
講座の先生や仲間と畑に行くようになってから、野菜が育つには時間も手間もかかることがわかり、生産者さんが元気いっぱいに取り組まれていることを知りました」
最近では、仕事の合間を縫って農作業の手伝いをしたり、自分のスキルを高めるために野菜講座に参加したり、中国の視察旅行で野菜市場や冷凍工場、種苗研究所などを訪問されています。
今年1月にはNHK文化センター横浜ランドマーク教室で開催された「野菜ソムリエのベジタブルレッスン」の講師を務め、流通の立場から見た野菜の魅力を伝え、参加された方々から多くの質問があり大好評でした。その他にも、食育授業の講師など活躍は多方面にわたっています。
●支えてくださったお客様に恩返しがしたい

「やさいのナイトウ」店頭にて。お客様との会話を大切にしています

店頭の果物が綺麗に見えるように陳列
内藤さんの八百屋は地域の方にも大好評で、お店はいつも大盛況!店内に入ると、トマトの写真で作った時計や訪れた畑の写真が飾ってあり、店の雰囲気作りも大切にしています。その気さくで真摯な姿勢が、野菜を通してお客様にも伝わり、その輪をどんどん広げていくようです。
「自分の職業は街の八百屋です。これまで30年間支えて下さったお客様や、新たに出会えたお客様に支えられてここまできました。
野菜を単なる商品としてではなく、このナスはどこでどう育ったのだろうと思いを巡らす「食べる前の楽しみ」や、素材を活かした「料理をする楽しみ」、そしてどなたかとご一緒に「味わう楽しみ」という『楽しみ』を伝えながら、素敵なストーリーの主人公として野菜をお渡しできることが目標です。
お客様にとって、今後も何らかのプラスになる存在でありたいです」
これからも内藤さんの届ける野菜は、多くの方々の食卓を幸せに彩ることでしょう。
※この文章は2009年2月18日に掲載された内容です
(撮影協力NHK文化センター横浜ランドマーク教室(講座中の写真))
写真提供(プロフィール写真):内藤 宏さん







