京料理の伝統と味のふるさとづくりに務める三代目若主人田村 圭吾さん
京都西陣の歴史の中で、伝統料理を提供

ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター 田村圭吾さん
織の街、京都西陣にある町家造りの「京料理・萬重」は、昭和12年に創業。 石畳を抜け趣のあるお座敷で、四季の風情を感じる庭園を見ながら、伝統の京料理を味わえる料亭です。
田村さんは三代目若主人。日本各地で5年間の修行、また海外での研修を重ね料理のベースを学び、稼業に従事されました。
古き良き伝統を守りながらよいものを受け入れる街の歴史と、西陣の旦那衆の洗練された舌に磨かれ、京料理の味のふるさとを提供されています。
その伝統の技を学ぶべく、全国から料理人を目指す若者が集まります。
料理人も一目おく野菜ソムリエの資格

京料理の修業に全国から集まる
従業員の皆さんと(中央が田村さん)

萬重7月お料理
料理人の家庭に育ち、子供の頃から野菜=食材と捉えていた田村さんが店の仕入れを任されるようになり、今まで「この野菜をどう料理に使うのがベストなのか?」とあまり意識していなかった事に気付いたそうです。
「同じような丸いお茄子でも、上賀茂産もあれば、他の府内産もある。県境に近い奈良産といろんな茄子が出てくる。この時期にこの産地の茄子がいいのか? 他の産地がいいのか? 本当によく考えたら、野菜の事分かってないな・・・。」
茄子は茄子。大根は大根。それ以外に考えていなかった事。時期の本来の味を知る事で野菜の味を活かした食べ方、料理法があるのでは?
「器や日本画にこだわり、季節を感じる庭があって、お座敷にはししおどしの音が響く。そして料理には文化的背景や季節を散りばめる。ゆうたらお客様には京料理のアミューズメントパークを楽しんでいただく訳です。それにはやはり素材を分かってないとアカンと思いました」 その気付きが野菜ソムリエとの出会いとなります。
野菜本来の魅力、オンリーワンの魅力


(上)市場でのコミュニケーションも大切な情報源。
(下)京都市場に並ぶ京野菜
運よく関西で初となる講座が始まり、ここで改めて野菜についての基礎を学ばれました。
現在田村さんは、毎朝京都市場に買い付けに出向きます。中卸さんとの会話の中からも情報をすばやくキャッチし、自分の目利きと合わせ本日の食材を吟味しているそうです。
名前やブランドではなく「何をどう食べたいか?その野菜のオンリーワンの魅力を惹き出す料理」を第一に考えて。
この時期市場には加茂ナス、万願寺とうがらしや実山椒などの京野菜が並び、京料理人の技と野菜ソムリエとしての知識の融合により、五感を満たす料理としてお客様に振舞われます。
若主人は食育の先生。伝える手段は「料理」しかない

日本料理に学ぶ食育カリキュラム
日本料理を広げる目的で設立された「NPO法人日本料理アカデミー」。田村さんはここで日本料理のよさや魅力を伝える食育授業を担当しています。
「きちんとダシをとって料理をする家庭がどれくらいあるでしょうか? 昆布や鰹からとるダシは美味しいと感じられるはずなのに、感じられなくなってきているんです。今の子供は味覚がおかしくなっているんじゃないか? そんな話をメンバーとしていました。」
危機感を感じ京都市教育委員会に協力をあおぎ、2006年より「日本料理に学ぶ食育カリキュラム」がスタートしました。これは京の料理人が作った、京の子供達のプログラムです。


西陣中央小学校にて
天然だしについて講義する田村さん
授業では塩茹でとダシで炊いた聖護院大根を食べ比べたり、昆布ダシと鰹ダシの違いを知る「味覚教育」や 今年度は「味覚」「食材」「調理」と「マナー」や「食文化」などを総合的に学ぶDVD付きテキストが、京都市内の全小中学校に配布されました。
「短い授業の中では100あったら1しか分からないかも知れない。でも1あれば、そこから興味を示し広がります。 0のものはいつまで経っても0なんです。関心の芽を持てる、そんな子を育てないとアカンと思う」 と話す田村さん。
土地の宝の素晴らしさを伝え、食の振興に貢献している田村さんは、京料理の歴史、伝統、日本人のアイデンティティーを、京料理人のプライドを持って次世代に伝えいきたいと考えていらっしゃいます。
もちろんそこには"野菜ソムリエ"としての知識が大いに活かされています。
文章:ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター 香月りさ写真提供(料理・食育授業):田村圭吾さん
上記以外撮影:香月りさ






